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とろんこBLOG
3.192022
2022年3月19日(土) 贈る詩ひとつ
いつもとろんこアカデミーのブログをご覧いただきありがとうございます。3月19日土曜日のとろんこの様子です。
卒業式のシーズンということで、きょうは少し趣を変えて詩をひとつ。
学校にもよりますが、小学校5年生の教科書に載っている「ゆづり葉」という河井酔茗(かわい・すいめい)の有名な詩を卒業生と保護者の皆さんに贈ります。
「ゆづり葉」
子供たちよ
これは譲り葉の木です。
この譲り葉は
新しい葉が出来ると
入れ替わってふるい葉が落ちてしまふのです。
こんなに厚い葉
こんなに大きい葉でも
新しい芽が出来ると無造作に落ちる
新しい葉にいのちを譲って――。
子供たちよ
お前たちは何も欲しがらないでも
凡てのものがお前たちに譲られるのです。
太陽の廻るかぎり
譲られるものは絶えません。
輝ける大都会も
そっくりお前たちが譲り受けるのです。
読み切れないほどの書物も
みんなお前たちの手に受取るのです。
幸福な子供たちよ
お前たちの手はまだ小さいけれど――。
世のお父さん、お母さんたちは
何一つ持ってゆかない。
みんなお前たちに譲ってゆくために
いのちあるもの、よいもの、美しいものを
一生懸命に造っています。
今、お前たちは気が付かないけれど
ひとりでにいのちは延びる。
鳥のようにうたい、花のように笑っている間に気がついてきます。
そしたら子供たちよ
もう一度譲り葉の木の下に立って
譲り葉を見る時が来るでしょう。
「酔茗詩抄」岩波文庫、岩波書店 1973(昭和48)年刊
今日もありがとうございました。
田中